~ 「なぞり理論」とは? ~

~ 誰も言わなかった国語力の原点     
     それは音声と視線の「なぞり」効果だ ~

 問題文の一部や設問を確認する読み手(教師)の音読を聞きながら、同時に聞き手(生徒)自身が音読をしているつもりで、 黙読ではあっても人の音声をなぞっていけば、共鳴・共振作用が生じます。 文章や設問の読み方が伝染するわけです。 読み方が伝染するということは、読み手(教師)の音声の微細な動きに聞き手(生徒)が同期反応、 つまりシンクロナイズすることだから、もし読み手(教師)が同時に解説を施せば、 話題や問題について聞き手(生徒)が理解を共有することができるというわけです。
私が授業で聞き手(生徒)の耳を最重要視するのはこの音声の「なぞり」効果を期待するためです。 そして、共有された理解は教師の理解を分け与えたものだから、国語力の伝授ということになり、 生徒は私の分身となって入試問題を攻略してくれるはずです。

 次に、国語力をつけるための、今まで誰も言及していない本質的な問題がもう一点あります。 同じ文章、同じ設問には二度とお目にかからないという入試国語の前提条件から、 一回きりの読解、解答作業を完結させるためには、見られている生徒本人と、 見ている家庭教師との間の「視線共有関係」がどうしても必要です。
視線の動きを見ていれば、その子がどう読み、どう処理し、どう答えるかが手に取るように分かる。 これは教師による生徒の視線の「なぞり」です。

 国語は、問題文と設問との間の何往復もの視線移動距離・移動時間の負担があって、その重圧は他教科の比ではありません。 この重圧をはねのけ、生徒本人の視線を誘導し、教師の視線をなぞらせて解答の根拠を特定させなければなりません。
教師から生徒へ、生徒から教師へと、双方向の視線の「なぞり」効果があって初めて可能な設問処理といえます。

 以上の二点を中心に毎回の授業で模試1回分なり、過去問1校分なりの問題処理が完結する。 さて、これが塾では可能でしょうか。